| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-388 (Poster presentation)
徳島県阿南市の北の脇海岸は長さ1kmあまりにわたる砂浜とクロマツ林からなり、「日本の渚百選」に選ばれている。その景観は、風景としての価値のみならず、飛砂防止や防風・防潮といった調整サービスの提供を通して、地域の生活を維持する上で重要な役割を果たしていると考えられる。そのため、地域の共有財産(コモンズ)として、将来にわたって持続的に維持管理されていく必要があるだろう。
本研究では、北の脇海岸のクロマツ林の持続性を検討するために、10m×10mのプロットを16か所設置して毎木調査、実生調査および林床の光環境調査を行い、林分構造を把握した。そして、更新の状況やマツ林としての持続可能性について植生学的に検討した。あわせて、これからの群落の維持管理のあり方について検討するため、当該マツ林の所有形態や、地域住民による利用・管理等についてヒアリング等から明らかにした。
その結果、ほとんど場所で林内に広葉樹が侵入し、クロマツの後継樹はほとんど存在せず、現状のままではマツ林の維持は困難なことが明らかになった。また、林分構造は、土地所有者や管理手法の違いに影響を受けていることが明らかになった。