| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-393 (Poster presentation)

淡路島南部における過去70年間の生態系サービスの評価

*森野真理,吉備国際大学

野生シカによる獣害は、農作物の被害にとどまらず、下層植生の過食、土壌流出といった生態系の破壊も問題となっている。生態系サービスの観点からいえば、農作物や野生植物への過食は供給サービスを減少させ、下層植生の過食による土壌保持機能や水源涵養機能の低下は、調節サービスの減少と位置付けることができる。本研究では、獣害問題を生態系サービスの観点からとらえ、サービスの変化を評価することを目指している。そのために、今回は、兵庫県淡路島にてシカの分布する淡路島南部を対象とし、過去70年間の土地利用の変化と、それに伴う生態系サービスの変化について推定することを目的とする。

土地利用の変化について、1947年、1970年、2014年に撮影された空中写真・衛星画像をもとに植生判別した地図データを新規作成し、3時期の9つの地目別の変化について明らかにした。その結果、変化の大きかった地目は、森林、伐採地、植林地、田畑であった。1947年から1970年にかけて森林の伐採が進み、伐採地の3割は植林され、残りは自然再生によりほとんど森林化(二次林化)した。また、1947年から1970年にかけて森林が田畑に開墾されたが、2014年には一部(7%)は森林化し、そのほか宅地等への転用も進んだことが示された。

生態系サービスの一つとして土砂の流出に注目し、ダムの堆砂量の推移から、土地利用の変化による影響について考察する。


日本生態学会