| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-412 (Poster presentation)

林床植生の被度と種数は単調減少するのか‐大阪府内二次林におけるシカ生息密度との比較‐

*幸田良介, 辻野智之, 土井裕介(大阪環農水研)

近年、日本各地と同様に、大阪府北摂地域でもシカの増加とそれにともなう自然植生や農林業への影響が大きな問題となっている。大阪府ではその対策としてシカの捕獲を進めているものの、自然植生への影響については明確な森林植生の管理目標や、目標とすべきシカ生息密度の設定には未だ至っていない。シカによる影響は、単純に生息密度に比例するのではなく、非線形な変動をすることが指摘されている。そのため、自然植生とシカ生息密度との関係を把握しておくことは、今後の管理目標の設定のためにも非常に重要であると言えよう。そこで、シカ生息密度増加にともなう森林内の植物種数や被度の変動パターンを明らかにすることを目的として、大阪府内の二次林で多地点調査を行った。

大阪府北摂地域に計99ヶ所の調査地をなるべく均等に選定し、各調査地に50 m×4 mのベルトトランセクトを長辺が南北方向もしくは東西方向となるようにそれぞれ設置した。各トランセクトにおいて、糞塊除去法によるシカ生息密度推定を2014年初冬と2015年初冬に実施した。また、2015年6月~11月に、高さ150 cm以下の林床植生調査を行った。各トランセクトを10 m×4 mの調査プロット5つに区切り、調査プロットごとに種数と被度、シカによる食痕の有無を調べた。併せて環境要因として、プロット中央で全天空写真を撮影するとともに、傾斜と斜面方位、地形を調査した。

発表では各プロットにおける植物種数や被度に対するシカ生息密度の影響を、光環境や地形等の影響を加味した一般化線形混合モデルや一般化加法混合モデルで解析し、その結果をもとに大阪府内二次林で考えられるシカ適正密度について議論したい。


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