| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
企画集会 T05-5 (Lecture in Symposium/Workshop)
市民科学は市民が積極的に研究活動に参加し、そのプロセスを楽しみながら科学に貢献することと、市民の日常活動が記録され、ビッグデータとなって、科学研究に活用されることという2つの流れがあると理解できる。生態・生物調査において長い歴史があり、専門家また市民愛好家によってユニークなデータが豊富に蓄積されている。しかし、ペーパーベースのままで社会に広く使われていないものが多い。インターネットおよびスマホンの普及によって爆発的な伸びをみせており、いつでもどこでも観察・記録することが可能になっているが、信頼性が欠けると言われる。いまはこの2つの流れが融合する。WebとIoT(Internet of Things)の役割が大きい。まず政府、研究者、観察者のデータをデータベース化し、CloudソースとしてWebサービスを提供する。スマホンはそのWebサービスを受けるデバイスとして活用されるだけでなく、センサとしてまたはルーターとして、ユーザー自身の情報、周辺環境の情報を取得し、Crowdソースに蓄積され、学習して活用される。この考えのもとで、私たちは科学と市民のインターフェイスのためにWebGISとフィールドを連携するシステム開発し、国内外で実践してきた。代表的な事例として、東京都狭山丘陵公園で公園管理支援システムを実装した。レンジャーが公園における四季折々の植物情報を集め、Webにアップロードして市民に発信している。モンゴルでは、膨大な科学観測データとリアルタイムの天候・草原情報を160文字に集約し、ショートメッッセージサービス(SMS)で定期的に遊牧民に送信するサービスを実現した。それによって遊牧民に放牧行動の変化も見られた。現在、これらのサービスにおいてIoT機能を拡張し、データ取得、通信、マイニング、サービスを一体化した市民・科学のコミュニケーションシステムへ発展することを目指している。