| 要旨トップ | ESJ63 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
企画集会 T05 -- 3月21日 10:00-12:00 RoomG
市民科学は科学の発展に長年貢献してきた。しかし、科学研究の専門家(科学者)の登場とその後の科学の高度化・細分化により、科学は市民にとって理解し難く遠い存在となった。さらに日本では、福島の原発事故や科学者によるデータの捏造などにより、市民の科学に対する信頼は大きく揺らいでいる。しかし、過去20年間に欧米で急速に発展した市民科学では、市民がデータ収集だけでなく、科学研究の多くのプロセスに参加することにより、再び市民が科学研究において大きな役割を果たす道を拓いた。
市民科学の急速な普及には2つの要因がある。第1には市民科学は学際的な分野であり、科学研究、市民教育、社会の課題解決を同時に実践できること。第2には、webの普及により市民が広域的・長期的データを取得し、科学者の厳密で限定的な研究を補完し、ビッグデータを取得・活用することが可能となったことである。
しかし、日本では進展がほとんど見られていない。そこで、市民科学への認識を深めるため、本企画者らは第61回の日本生態学会大会において、米国の市民科学の先駆者であるProf. Dickinson(コーネル大)を基調講演者に招聘し、市民科学のシンポジウムを開催した。また生態学会英文誌(Ecological Research)には、本学会の会員への提言とし、査読論文を投稿した(2016年1号に掲載予定)。
市民科学は発展途上の分野でもあり、多くの課題を抱えている。本企画では、その課題を明らかにすると共に、既に優れた事例を実践している演者にその手法を紹介いただき、日本の市民科学の実現に向けた提案を行う。
[T05-1] 日本の市民科学の課題から見える“あるべき市民科学”とは?
[T05-2] 市民科学運営における協働
[T05-3] 社会学的アプローチの導入とその意義
[T05-4] 市民科学の成果の活用
[T05-5] 国際連携による課題解決のwebプロジェクトの推進