| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
企画集会 T12-4 (Lecture in Symposium/Workshop)
クロロニコチニル系殺虫剤およびフェニルピラゾール系殺虫剤は優れた特徴を有しており,1990年代から導入が始まり世界的に大変普及している.しかし,欧米ではセイヨウミツバチや水生動物,野生動物などへの影響を指摘する報告が多数ある.一方,日本ではこれら浸透移行性殺虫剤の陸域生物に対する影響評価はほとんど進んでいない.そこで,本系統剤の陸域節足動物に対する影響実態を明らかにするため,陸域に生息する複数の節足動物種を用いた経皮暴露試験および野外圃場試験を行った.経皮暴露試験にはネオニコチノイド系薬剤に加え,対照薬剤として有機リン,合成ピレスロイド,カーバメートなどの薬剤を用いた.複数の節足動物種を用いて試験を行い,算出されたLD50値をもとに薬剤ごとの種感受性分布(SSD)を作成した.その結果,ネオニコチノイド系薬剤は有機リン剤や合成ピレスロイド剤に比べSSDの傾きが小さく,種によって感受性に大きな違いのあることが示された.また,圃場試験ではナス苗定植時にネオニコチノイド系薬剤あるいは有機リン剤を株元に処理し,その後8週にわたって,圃場内外における昆虫相への影響を解析した.その結果,ネオニコチノイド系薬剤はナス株上のアブラムシ,アザミウマに対して大きな負の影響を及ぼすことが示された.