| 要旨トップ | ESJ63 企画集会 一覧 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T19 -- 3月24日 9:30-11:30 RoomC

里地里海の普通種の行方~多様な環境変化と生態系レジリエンス

企画者: 日鷹一雅(愛媛大・農), 嶋田哲郎(伊豆沼財団)

里地里海の生態系は、人間の管理下にあり、様々なインパクトを受けるのが特徴である。 たとえ、人間の管理圧の強くない自然生態系であっても、近年の地球温暖化や大災害のような攪乱のような劇的な環境変化を受けており、個々の種個体群に目を向ければ、通常の密度変動を大幅に超えるように減少する種、または増加する種もあり、また環境の変化があっても変わらない密度レベルの種もあるであろう。最近、日本の各地において身近な生物で減少が取沙汰されており、典型的な例としては、赤とんぼ、すずめ、春の七草・・・・・などがマスコミを賑わしている。私たちは減少種ばかりに目を奪われがちである一方で、絶滅危惧と考えられている種が、息を吹き返したような密度回復を見せることもある。このような場合に、個体群動態を中長期に見て、本当に低密度レベルに減少し、絶滅の心配がされる密度レベルまで到達しているかどうか、あるいは絶滅の危機を脱したかどうかの適切な判別は容易ではないであろう。本集会では、あまり風評には流されずに、定点での確かなモニタリング・データや操作実験などによる因果関係の解析を通した事象について探求しているフィールド研究者に登壇いただく。ある里地里海の種個体群や群集が、なぜ衰退したり、勢いを増すのかについて、多様な環境要因との因果関係に焦点を合わしながら生態系のレジリアンスについても考慮した考察を行い、身近な生きものの動態の変遷と今後の行方、人間社会の管理のあり方について議論する。

コメンテータ 嶋田哲郎ほか 「地域の多様な種群に対応している生態系保全管理の現場から」

司会 日鷹一雅

[T19-1] 津波被害を受けた岩手の干潟における底生動物群集の回復状況  *木下今日子(岩手大学・三陸復興),松政正俊(岩手医科大学・生物)

[T19-2] 「赤とんぼの行方」:アカネ属を増やす水田管理に向けて  神宮字 寛(宮城県立大)

[T19-3] 「田んぼのただの草の行方」:伝統的無農薬農法の水田植生から見えてくるもの  嶺田拓也(農研機構・農村工学研究所)

[T19-4] 里地の減る種・増える種・変わらない種:発生変動の逆問題を解くには?  日鷹一雅(愛媛大学大学院・農学研究科)

[T19-5] コメント:地域の多様な種群に対応している生態系管理の現場から  嶋田哲郎((公財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)


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