| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
企画集会 T20-4 (Lecture in Symposium/Workshop)
環境DNAから種特異的にある生物種を検出しようとする際には、一度の解析で一種のDNAを検出する手法が一般的である。本研究では、外来魚であるブルーギルLepomis macrochirus、オオクチバス Micropterus salmoides、コクチバス M. dolomieuの3種と、希少在来魚であるカワバタモロコ Hemigrammocypris rasborella、ミナミメダカ Oryzias latipes、ドジョウ Misgurnus anguillicaudatusを対象とし、環境DNAとマルチプレックスPCRを用いて外来魚3種および希少在来魚3種の同時検出系を確立した。対象種の分布が未知のため池101地点にこの系を適用したところ、23地点でブルーギルの、33地点でオオクチバスの、1地点でコクチバスのDNAを検出した。同時に、13地点でカワバタモロコの、24地点でミナミメダカの、40地点でドジョウのDNAを検出した。環境DNA検出地点でブルーギルと希少在来魚3種の捕獲調査を行ったところ、捕獲成功率は75%〜93%と比較的高く、環境DNAの複数種の同時検出による調査でも種分布をある程度正確に把握できることが明らかになった。各種のDNA検出・非検出地点と環境条件や地理的条件の関係を調べるため、一般化線形モデルで解析した結果、ブルーギルとオオクチバスは池面積が大きいほど、ミナミメダカは池面積が小さいほどDNA検出率が高かった。また、カワバタモロコは車が侵入可能な道路までの距離が大きいほどDNA検出率が高かった。本研究によって、外来魚3種および在来魚3種のDNAを同時に検出することができる系が確立された。この手法は他の複数種に適用できる可能性もあり、それらの複数種間の生態学的な関係をより詳細に把握できるかもしれない。