| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T23-3 (Lecture in Symposium/Workshop)

力学系理論から見たCCM : 何ができて、何ができないのか?

鈴木健大(国立環境研)

力学系理論はCCMの定義の基礎になっている、状態変数(例えば個体数)の時間発展を記述する方程式系の振舞いに関する数学である。CCMの説明にはアトラクタ、埋め込み、非線形性など力学系理論に関連した言葉が多く使われており、実証的な生態学に携わる研究者にはとっつきにくい印象を与えるかもしれない。一方で、力学系に基づく枠組みとしてCCMが何をやっているかを正しく理解することは、CCMでできること・できないことを把握するために重要である。本講演では、閉じた力学系、アトラクタの一貫性・次元などをキーワードに、CCMを利用する際に生じうる問題を分かりやすく解説することを目的としている。さらに、余裕があればここで言及する問題の一部がCMS(Cross Map Smoothness)によって解決される可能性にも触れたい。メタゲノム情報の利用など大規模時系列解析の需要は高まる一方、解析手法は未だ不足していると言って良い。CCMや関連の理論について理解を深めることは、このようなデータの奔流を紐解くための一つの足がかりとなるかもしれない。


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