| 要旨トップ | ESJ63 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
企画集会 T23 -- 3月24日 9:30-11:30 RoomI
生態学者はしばしば、複数の時系列間に因果関係があるかどうかを推定する必要に迫られる。例えば、二種の個体群の時系列データのみを手がかりにそれらの間に種間関係があるかどうかを推定するというのは保全生態学や個体群生態学、群集生態学においてしばしば見られる状況だろう。しかし生態学における時系列からの因果関係推定は時系列の短さやデータに内在する非線形性など、いくつかの理由から非常に困難であった。
Convergent cross mapping (CCM)は、比較的短い、非線形構造をもつ時系列データに対して適用可能な因果関係推定法として2012年にScience誌上で発表され(Sugihara et al., 2012)、注目を集めている。この手法は生態学における因果関係推定に広く応用可能であり、漁業データや環境DNAデータ、動物の歩行軌跡データ等に適用されつつある。しかし、基盤となる理論が比較的難解であるため、この方法を用いることを躊躇してしまう生態学者も多いと考えられる。本集会では、4名の講演者がCCMの原理(中山)、CCMを用いた研究例(阿部)、CCMの限界と注意点(鈴木)、既存の方法との比較(山道)について発表する。これらを踏まえたうえで、これからの生態学における因果関係推定のありかたやそれを意識したデータの取り方、推定された因果関係に基づいたモデリング、予測および管理への応用の可能性などについて幅広く議論できる場としたい。
[T23-1] Convergent cross mapping:原理、実装、研究例について
[T23-2] CCMの応用例:動物の集団行動の解析
[T23-3] 力学系理論から見たCCM : 何ができて、何ができないのか?
[T23-4] CCMと移動エントロピーの比較