| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(口頭発表) E01-09  (Oral presentation)

ヨモギホンヤドカリのアンテナの性的二型

*守田安祐美, 和田哲(北大院・水産)

 性的二型とは形態形質の性差を指す。演者らはヨモギホンヤドカリとテナガホンヤドカリのアンテナの長さに性的二型を発見した。オスがメスより大きいことや、角や牙といった武器形質をオスだけがもつことはコンテスト型のオス間競争を介した性淘汰でしばしば説明される。一方、アンテナのような感覚器官の性的二型は、他のオスよりも早くメスを発見するというスクランブル型の競争を介した性淘汰で説明されうる。
 ホンヤドカリ属ではオスがメスをつかんで交接・産卵まで持ち歩く「交尾前ガード行動」やガードされたメスをめぐってオスがコンテスト型の競争を行うことが知られている。しかし、そもそもガード行動はオスがメスに出会うことから始まるため、スクランブル型の競争もあると考えられる。
 本研究ではスクランブル型の競争に着目して室内実験を行った。実験では、アンテナを切らない群と半分切除する群を作成し、それぞれの群のオスが成熟メスを探して触るまでの時間を計測した。その結果、群間でメスに触るまでの時間に有意差はなかった。よって、長いアンテナがスクランブル型の競争で有利であるという仮説は本実験からは支持されなかった。それでは、コンテスト型の競争でアンテナは機能しているのだろうか。ヨモギホンヤドカリやテナガホンヤドカリのコンテスト型の競争を観察すると、アンテナが様々な使われ方をしていることがわかった。これに関する統計的な解析は今後行っていきたい。


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