| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-B-030  (Poster presentation)

生物情報収集アプリケーション:MappEnv

*雨宮雄一, 根本航(東京電機大学)

 これまでの生物情報収集は、専ら専門家自身らが採取地に赴き、採取もしくは、観察を行うことで実施されてきた。この方法では収集者が目的とする生物の専門知識を持つため、精度の高い情報収集を行うことができる。一方、収集者が専門家に限定されるため、収集に関わることのできる人数が大幅に限定され、収集に時間を要することが多い。収集者を雇用する場合、人件費がより多くかかると推定される。必要な情報量によっては、収集経費も莫大になる可能性がある。それゆえ、一般に生物情報の収集は容易ではなかった。
 我々は、生物の画像を位置情報と同時に収集するための、スマートフォン上で動作するアプリケーションMobile application to collect environmental samples (MappEnv)を開発した。MappEnvでは、まず、スマートフォンのカメラ機能を用いて興味対象の生物を撮影する。次に、GPSを用いて取得した位置情報をメタデータとして画像データに付加する。最後に、撮影した画像を、付加された位置情報とともにWebサーバに送信することで、生物情報の収集を行う。収集活動を促進するため、シリアスゲームの仕組みを導入しユーザ同士の競争を促す。MappEnvのユーザは、専門家のみならず、専門知識を持たない一般の方々を想定している。収集した情報の質保証のため、互いのデータを評価し合う仕組みや専門家との連携を促す。ユーザの行動に積極的に働きかけることで、これまでより多くの生物情報が収集出来ると考えている。
 MappEnvは、2015年8月に実装が完了し、研究室の関係者が使用することで、埼玉県を中心とした地域における植物画像と位置情報の収集を行ってきた。現在のところ、植物を対象としたアプリケーションとして実装されているが、我々が管理するサーバ上で動作しているソフトウェア等を移植すれば、様々な対象を取り扱うアプリケーションとして拡張可能である。


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