| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-B-050 (Poster presentation)
岩手県宮古市では、閉伊川の支流である黒沢流域を対象とした木の博物館調査の一環として水質や水生生物相の調査が行われてきたが、平成24年以降継続的な調査が行われていない。そこで本研究では、平成24年以降の調査として水生生物相及び水温、水素イオン指数、電気伝導率、酸化還元電位の調査を行い、確認された種数と水質及び確認時期、調査地点との関係について解析を行った。
調査は、黒沢流域の6か所を選定して行い、各地点における水生生物の種数を記録した。平成28年5月~10月までの計6回の調査で、襀翅目8種、毛翅目15種、蜉蝣目9種、蜻蛉目10種、甲虫目13種、広翅目1種、半翅目3種、双翅目4種、ハチ目1種、ダニ目1種、マルスダレガイ目1種、等脚目1種、端脚目1種、有尾目3種、無尾目3種、三岐腸目2種、サケ目1種、ハリガネムシ目1種の合計18目78種の水生生物が確認された。また、確認された総種数、襀翅目種数、蜉蝣目種数、毛翅目種数を従属変数、水質、確認時期のダミー変数、調査地点のダミー変数を独立変数として重回帰分析を行ったところ、毛翅目種数と水質、確認時期、調査地点、襀翅目種数と水質、総種数と調査地点には各々弱い正の相関(R2=0.23~0.29)が示され、襀翅目、蜉蝣目の種数と調査地点には各々決定係数R2=0.401、0.545と、正の相関があることが示された。しかし、いずれも帰無仮説は有意水準5%においても棄却できなかった。襀翅目種数と水質の相関のうち、水素イオン指数の標準化係数は0.536であり、襀翅目の種数は水質の中で水素イオン濃度との関係が大きいことが分かった。また、毛翅目の種数と水質との相関における水温の標準化係数は0.412、電気伝導率の標準化係数は-0.464となり、毛翅目の種数は水温と正の相関、電気伝導率とは負の相関が認められた。