| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-D-142 (Poster presentation)
ニホンカワウソは1979年に高知県須崎市の新荘川で目撃された個体を最後に、現在では絶滅種とされている。これまでの報告では、目撃に関する時空間的な情報の蓄積が乏しかったため、1979年に目撃されたニホンカワウソに関する行動範囲や個体数などの詳細はわかってない。本研究では、須崎市教育委員会生涯学習課に保管されていたニホンカワウソの資料を電子化して保存するとともに、可能な限り目撃情報の日時と場所を特定し情報を時空間的に整理した。新荘川周辺で時空間的に特定できた目撃情報は276件あり、そのうち1979年の情報が111件であった。1979年は、短期間に首に身体的な特徴をもった個体ともたない個体が局所的に同時に見られた。加えて、同時期に人馴れしている個体としていない個体が局所的に見られたことから、この時期に目撃されたニホンカワウソは行動的にも特徴が異なっていた。1974年にはメスの個体、1975年にはオスの個体が新荘川周辺で生存していたことがわかっている。ニホンカワウソの寿命は10-15年と推定されていることから、1979年の新荘川周辺には複数個体生存していた可能性が示唆される。