| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-D-153 (Poster presentation)
加古川、武庫川、由良川の源流地域に位置している篠山市には、きれいな水に生息するさまざまな魚類が生息し、オヤニラミ(Coreoperca kawamebari)やスナヤツメ(Lethenteron reissneri)といった希少な魚も確認されている。しかし、河川改修などの影響によって希少種をはじめとする日本固有の在来魚の個体数が急激に減少しつつある。生物を保全するためにはまずどのような場所にどのような生物が生息しているのかを把握する必要がある。これまで、生物調査の方法として網を用いた捕獲手法や電気ショッカーを用いた手法などが行われてきた。しかし、これらの手法は労働コストが大きく、周辺の環境や生物に対して侵襲的であるなどのデメリットを抱えていた。そこで近年、生物から水中に放出されたDNAを分析し、対象とする生物が生息していることを確認できる環境DNA分析手法が実用化されている。この手法は、現地での調査が水をくむだけであるため、労力をかけずに、そして周辺の環境や生物を傷つけずに生物調査を行うことができる。本研究では、兵庫県レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている、オヤニラミを対象種とし、第一にオヤニラミに特異的なプライマープローブを設計した。第二に、篠山市を流れる河川で環境DNA分析手法によって本種のDNAを検出することを試みた。結果として、調査を行った28地点のうち、8地点から本種のDNAを検出することに成功した。今後、本種のDNAを検出した地点で実際にオヤニラミが生息しているのかを確認する必要がある。そうすることで、オヤニラミのさらなる生息地を発見することができるかもしれない。