| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-G-237  (Poster presentation)

岩礁潮間帯生物群集における植食者バイオマスの変動性の空間変異

*藤井玲於奈(北大院・環境), 奥田武弘(水産機構国際水研), 堀正和(水研教育機構・瀬戸内海区), 山本智子(鹿大・水産), 仲岡雅裕(北大・厚岸), 野田隆史(北大・地球環境)

岩礁潮間帯生物群集における植食性底生無脊椎動物の総個体数の変動性の空間変異

○藤井 玲於奈1,奥田 武弘2,堀 正和3,山本 智子5,仲岡 雅裕4,野田 隆史6(1北大院・環境,2水研教育機構・国際水研,3水研教育機構・瀬戸内海区 ,4北大・厚岸,5鹿大・水産,6北大・地球環境)

 生物群集内の特定の機能群の総量は生態系の機能と密接に関連することから、近年、その空間変動パターンや、その背後にあるメカニズムについて注目されるようになった。これまで岩礁潮間帯ではヨーロッパ(地中海沿岸および大西洋沿岸)において一次生産者(海藻)のバイオマスの変動が高緯度になるほど大きくなり、その原因として緯度に伴う種間の個体群動態の同調化が重要であることが明らかにされているが、一次生産者以外の機能群では総生物量がどのように空間変異するかはこれまでに研究例はない。
そこで本研究では2003年~2010年に北海道東部から鹿児島県大隅半島にいたる太平洋沿岸の6地域(北海道東部、北海道南西部、三陸、房総、南紀、大隅)の30海岸、全150地点(6地域×5海岸×5地点)で実施された大規模センサスから得られた岩礁潮間帯生物群集データを用い、各地点での植食性底生無脊椎動物の総個体数の年変動を変動係数として算出し、その緯度勾配を求めた。その結果、植食者の総個体数の変動性は高緯度になるほど低下という、ヨーロッパにおける海藻を対象とした先行研究の結果とはまったく逆の緯度パターンが検出された。なお、発表では緯度パターンの生成にかかわる変動要因や安定化を促進するメカニズムについての解析結果についても紹介する予定である。


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