| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-G-238  (Poster presentation)

局所環境の変化による歩行虫群集の時間的変化と広域の群集評価へのインパクト

*朴容煥(神戸大・人間発達環境), Kim, Jong Kuk(江原大・森林環境保護), 高見泰興(神戸大・人間発達環境)

地球環境変動が群集におよぼす影響を理解することは、地球環境と生物多様性の保全における重要な課題である。地球温暖化のような広域の気候変動は、群集の種組成や生態系の機能などに急速な変化をもたらしうる。一方、微気候は地球表面の局所的な地域で測定した気候条件であり、生物種の生息地選択や繁殖に直接影響する。これまでは、広域での平均的な環境変動が生物相に及ぼす影響と、局所的な環境変動による影響は、区別しないか、それぞれ独立な研究として扱われてきた。また、生態系の構造と機能は、空間的スケールによって異なるため、生物学的過程に関わる環境要因とその相対的な重要性は、時間的、空間的スケールによって異なる。しかし、微気候の変動やそれに伴う生物群集の変動が,それぞれどのようなスケールで生じているのかについては、未だ十分に理解されていない。
本研究は気候と群集の時間的、空間的変動を明らかにすることで局所レベルで生じる変動の重要性を明らかすることを目的にする。オサムシ科昆虫は飛行能力が失われた種が多く、移動分散能力が低い。よって特定の地域の環境に影響を受けやすいため、指標生物として注目されている。また、オサムシ類が生息する山地は、低地に比べて環境が高度と傾斜に応じて急激に変化するため、狭い範囲の中で特定の環境に適応した生物相が現れる特徴がある。そこで本研究では、韓国の香爐峰、五台山、太白山のそれぞれ環境が異なる3地点(計9地点)において、5年間にわたりオサムシ科群集と微気候の調査を行った。このデータをもとに、微気候とオサムシ群集の変動を空間的、時間的スケールに分割した結果、微気候は空間的(各山塊内のサイト間)に大きく変動するが時間的にはあまり変動しないこと、群集は空間的に変動することに加え、時間的にも大きく変動することが明らかになった。


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