| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-O-405 (Poster presentation)
外来種ナンオウフジツボの三陸沿岸における侵入過程
野口遥平・岩崎藍子・大平昌史・金森由妃・立花道草・織田さやか・藤井玲於奈(北大院環境)・野田隆史(北大地球環境)
ナンオウフジツボ(Perforatus perforatus)は、西ヨーロッパから西アフリカを原産とする、岩礁潮間帯の固着動物の1種である。日本での本種の初報告は北九州市洞海湾であり、その後、北日本を中心に1道6県で生息が報告されているものの、本種の生態についてはほとんど知られていない。本研究では、侵入初期において、(1)本種のアバンダンス、分布、加入量は時間とともにどのように変化するのか(2)本種の住みつきと絶滅の動態(3)本種がどの種とどのような相互作用をするのかを明らかにすることを目的として、三陸地方の岩礁で本種の動態を追跡し、解析を行った。
三陸中部の5海岸の25地点(各海岸5地点)において、2012年から2016年にかけて本種の(1)成体と幼生の存否(2)被度(3)幼生加入量(4)垂直分布について調査を行った。
幼生加入が確認された地点の割合についてみてみると、2012年の13%(2海岸の3地点)から急激に増加し、2016年には43%と大幅に増加した。幼生加入量も2014年から2015年に一気に増加した。一方、最初の成体は幼生加入が最初に確認された海岸で2014年に確認されたが、出現地点の割合は2016年においても22%で、平均被度も常に低い状態であった。本種の帯状分布の中心は平均潮位から約45 cm下に位置し、出現が確認された地点の約90%が平均潮位下100 cmから平均潮位上30 cmにふくまれていた。
以上の結果に加え、講演では本種の住みつきと絶滅の動態に及ぼす諸要因や、他種との相互作用についての解析結果も紹介する予定である。