| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-B-079  (Poster presentation)

極端な気候と植物種数・土地利用履歴・土壌との関係

*柳川亜季, 吉川沙耶花, 井芹慶彦, 鼎信次郎(東京工業大学)

極端な降雨や干ばつが、将来、増加することが予測されるなか、植生に与える影響やその要因について、十分な理解が進んでいるとは言い難い。これまで、降水量や生物多様性が極端な降雨や干ばつに与える影響について様々な指摘があるが、統一的な広域の理解には至っていない。
本研究は、全球を対象に、気象現象の程度別のResilienceとResistanceをEVI(Enhanced Vegetation Index )の年間最大値の差分を用いて算出した。気象現象の程度の決定には、2001年から2014年のSPEI(Standerdized Precipitation Evapotranspiration Index)を用いて、各グリットをExtreme (wet and dry)、Severe(Wet and dry), Moderate(wet and dry) and Normalの7つに分類した。ResistanceおよびResilienceとの関係について、降水量、土壌、植物週数、標高、降水量、土地利用履歴について、一般化線形モデルとStepAICを用いて最適なモデルを選択した。
常緑針葉樹林帯では、Extreme wet およびSevere wetの気象下において、Resistanceが優位に他の土地被覆よりも低く、落葉針葉樹林においては、Extreme dryの気象下におけるResilienceが優位に低かった。このことから、針葉樹林が極端な気象現象について脆弱であることが示唆された。また、Resistanceには、どのような気象条件においても、降水量以外の土壌特性、種数、土地利用履歴、標高の影響が最も高かった。一方で、Resilienceでは、NormalもしくはExtreme dryの気象条件において、降水量が最も影響のある変数であった。このことから、水資源に関するバランスがResistanceおよびResilienceに影響する要因を決定していることが示された。


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