| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-B-087  (Poster presentation)

奥秩父山地における認定鳥獣捕獲等事業者によるニホンジカ管理

*高橋聖生, 廣瀬大悟, 堀口悠太((株)Foresters PRO)

埼玉県のニホンジカ(Cervus nippon:以下シカ)の生息域は、昭和50年代までは秩父地域と飯能市(旧名栗村)に限られていたが、平成の始め頃から急激に拡大し、現在では、その周辺の丘陵部でも生息が確認されている。生息状況調査の結果では、生息域の60.9%の地域では生息密度が0.5頭/㎢以上、特に秩父山地周辺の32.2%の地域では5頭/㎢以上、最大22.0頭/㎢と推定された。また、平成元年度の捕獲頭数は99頭であったが、平成25年度は1,570頭であった。草本類や低木類など林床植生が衰退又は消失した区域が急速に拡大し、土砂の流出や崩壊、森林生態系への影響が懸念されている。このため、生態系の保全と森林の公益的機能を維持していくため、シカの生息密度を一定の水準にまで抑制することによって農林業被害の防除及び自然植生の回復を図ることとしている(埼玉県第二種特定鳥獣管理計画)。また、特に捕獲の推進が必要な区域に関しては県が指定管理鳥獣捕獲等事業を実施している。本発表では、指定管理鳥獣捕獲等事業によって奥秩父山地で認定鳥獣捕獲等事業者が行っているシカの管理の取り組みを紹介する。捕獲者は1日毎に日報を作成し、当日の捕獲結果の検証、次の日の捕獲計画の検討を行い、直ちに適していると思われる捕獲手法や行動への変更を行った。全捕獲日程が終了した後に、捕獲者の捕獲時の行動とシカの行動・性質を解析し、区域・捕獲手法毎に捕獲効率を比較し、その区域に適した手法や体制・技術要件を事後評価し、よりよい方法を検討した。本発表では上記を踏まえ、総従事人工、目撃効率、捕獲効率、生息密度推定値、体制等から、シカの管理の実現性を検討する。


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