| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-J-295 (Poster presentation)
陸上植物には多様な節足動物が生息し、植物を介して間接的な相互作用のネットワークを形成している。このネットワークの解明は、植物上の複雑な節足動物群集の動態を理解するために不可欠である。近年の研究により、植食者の食害によって、植物上の節足動物の群集構造が変化することがわかってきた。一方、捕食者は植食者を減らすことで植物に間接的な影響を与えるため、その影響が節足動物群集にフィードバックする可能性がある。
本研究では、植物(ジャヤナギ)と、ヤナギ科のスペシャリスト植食者(ヤナギルリハムシの幼虫、以下ハムシ幼虫)、捕食者(ハナグモ)を用いて、事前に植食者あるいは捕食者が単独でいた場合、両者が同時にいた場合に、植物を利用する植食性昆虫の群集が変化するかを野外実験により検証した。その結果、事前にハムシ幼虫が摂食すると、ジャヤナギを利用する植食性昆虫の個体数が減少した。しかし、事前にハナグモがいても植食性昆虫の群集は変化しなかった。両者が同時にいると、ハナグモはハムシ幼虫を捕食することでジャヤナギがハムシ幼虫から受ける食害を軽減させたが、その後の植食性昆虫の群集には影響が波及しなかった。以上のことから、本系では、捕食者が植物を介して植食者群集に与える影響はないことが明らかになった。