| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-J-298 (Poster presentation)
アフリカのサバンナにおいて、キノコシロアリが地上に建設する大きな塚には、周囲と異なる特異な植生が形成され、そのパッチ上の植生は採食地や営巣地として動物相の多様性維持にも貢献している。このような特異な植生が形成される要因としてこれまで、塚土壌の肥沃さや水分条件に加えて、塚の微地形が植物にとって野火や洪水からの避難地となることなどが示されてきた。これらは植物の発芽または定着過程に影響を与える要因(定着制限)であるが、シロアリ塚植生の形成過程において、種子の加入制限は検討されていない。
本研究は、シロアリ塚上の特異な植生の形成過程における種子散布の重要性を検討することを目的とした。2009-2010年にナミビア共和国北東部のモパネウッドランドにおいて、13個のシロアリ塚とシロアリ塚外の対象区のペアを設け、樹高1m以上を対象に毎木調査を行った。また、同調査地において2015年に樹木の葉と果実・種子に関する機能形質を調査した。
シロアリ塚は対象区に比べて樹木の種多様性、機能的多様性ともに高かった。また、シロアリ塚上の植生の種組成は対象区の種構成に比べて、種子散布の影響を大きく受けていた。さらに、シロアリ塚植生は鳥類や哺乳類による動物散布種が多く、対象区では風散布種が有意に多かった。