| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-J-300 (Poster presentation)
植物の中には新芽にアントシアニンなどの色素を含み、赤色を呈する種類がある。最近、一部の植食性昆虫が赤い葉を餌として好まないことが明らかになった。もし多くの植食性昆虫が赤い葉を好んでは食べないとすると、赤い新芽は食害を防ぐ仕組みとして進化したのではないかと考えられる。そこで、赤い新芽の植物が食害を受けにくいかどうかを明らかにするため、サツマイモの新芽が赤い品種(安納芋)と新芽が緑の品種(金時芋)の食害を受けた程度を比較する調査を行った。赤い葉を好まないことが確かめられているオンブバッタに両品種を与えてどちらを食べるか調べたところ、明確な傾向は見られなかった。また、野外でのサツマイモの葉の食痕の大きさを使って食害の程度を品種間で比較したところ、やはり明確な違いは見出せなかった。従って、新芽の色によって食害の程度に違いは生じないと考えられた。ただし、金時芋は葉がやや硬かったため、新芽を赤くする代わりの防御手段を発達させた結果、食害に差が生じなかった可能性もある。