| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-J-304 (Poster presentation)
■背景
植生資料は自然の状況を知る上で貴重な自然史情報である。戦後収集された記録の大半は研究者らが保管しているため、彼らの退官や死去で散逸する危険性が高い。オンライン公開が進む標本情報に対し、植生資料は研究者らが原票で保管している場合が大半で、電子化していてもフォーマットは多様、オンラインアクセスする環境も整っていない。そのため、植生資料は一部が論文等で出版公表されているだけで、大半は広く社会で共有されていない。これら植生資料を地域の自然史の解明や新しい知見の発見、生物多様性の保全のために有効活用するには多くの利用者が自由にアクセス出来る環境を整えるべきである。
■目的
植生調査資料の社会的共有の促進に貢献する運用方法を確立するための知見を得ること
■方法
1: 植生資料DBの構築および試験公開を行い、運用にかかる課題の抽出やノウハウの蓄積を行った。
2: 研究者らを対象として、植生資料DBの利用目的、資料の公開・登録のあり方、登録資料の内容、DBの維持・運営などに関してアンケート調査を実施し、植生資料DBの充実化の課題を抽出した。
3: 長年にわたり植生学を修めてきた大学研究室・研究機関にヒアリングを行い、植生調査資料のアーカイブの現状と課題について整理した。
■結果
アンケートでは植生調査資料の研究利用への期待は大きく、公開データのライセンスについて再配布を制限すれば7割超がDB化に賛同する回答が得られた。登録作業の低コスト・省力化、DBの永続性の担保、登録行為の実績として評価されることがDBへのデータ提供のインセンティブとなるとの結果が得られた。
ヒアリングでは、大学では保管場所や整理・登録のための労力・資金・時間確保が難しいため、植生調査資料のアーカイブは専門機関で実施することが望ましいことが指摘された。
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