| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-J-317  (Poster presentation)

MIG-seq法のバージョンアップ:複数種を用いた検討によるライブラリー構築方法の改良

*綱本良啓, 満行知花, 陶山佳久(東北大学)

MIG-seq (Multiplexed ISSR Genotyping by sequencing)は、NGSを用いたPCRベースのゲノムワイド配列分析手法である(Suyama & Matsuki 2015) 。本手法による標準的な手法では、たとえば約百サンプルを対象として、短時間(3日間)で安価に数百SNPs以上を検出して解析することが可能であり、既に多くの分類群を対象に解析が行われてきた。しかし、従来のMIG-seqライブラリー構築方法が最適なものであるかは、一部検討の余地が残されていた。そこで本研究では、その最適化を目的とし、さまざまなPCR条件(PCRキット、プライマー濃度、アニーリング温度、サイクル数、インデックス)のもとでMIG-seqライブラリーを構築し、そこから得られたSNPデータの量や精度を比較検討した。その結果、材料とした7種の対象種すべてにおいて、これらの条件改変にかかわらず基本的に安定したSNPデータが得られることがわかり、MIG-seq法の頑健性が確認された。一方で、1stPCRのアニーリング温度を下げることによって得られるSNPsが大きく増加すること、2ndPCRのサイクル数を増やすことでサンプルごとのデータ量を揃える効果が期待できること、デュアルインデックスを用いたランによって精度が向上することなどが明らかになった。また、構築ライブラリーからSNPを探索する際に、用いるパラメータの値を最適化することで、解析精度が向上することも明らかになった。これらの改良法を用いることにより、高い精度が求められるクローン構造の検出などにも改善効果がみられることが確認できた。この改良により、更に多くのSNPデータを高精度に得ることが可能となり、今後のより広い応用が期待される。


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