| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
シンポジウム S08-6 (Lecture in Symposium)
(経緯と背景)
我が国の外来種対策は、2005年施行の「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づき実施されているが、環境省は2015年3月に2つの重要な文書を関係省庁と連携して公表し、取り組みを進めている。
一つは「外来種被害防止行動計画」で、これは2020年をターゲットにした外来種問題全般に関する指針となるものであり、もう一つの「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(以下、「生態系被害防止外来種リスト」)」は、法に基づく規制の対象である特定外来生物のみならず、特に侵略性が高い外来種等を幅広く選定したものである。
(外来種被害防止行動計画と今後の外来種対策の方向性)
外来種被害防止行動計画は、農林水産省、国土交通省及び環境省が作成したものであり、さまざまな社会活動の中に、外来種対策を取り組むべき主要な課題の一つとして組み込んでいくための基本的な考え方として、4つの観点から8つの基本的な考え方を整理している。
また、国、自治体、民間団体、研究者、国民等の多様な主体が外来種対策に取り組むに当たっての行動指針、それらを踏まえた国等の具体的な行動を示し、外来種対策を総合的かつ効果的に推進し、生物多様性の保全及び、持続的な利用を目指すことを目的とする。
まず、この行動計画における「防除」の位置づけを示し関係部分について紹介する。
次いで、上記を踏まえ、全国における環境省が実施する防除事業を中心に紹介するとともに、今後の外来生物対策、特に防除事業の展開の方向性について議論する。
外来生物法の施行後およそ10年となるが、外来種問題への社会的な関心と理解を高め、地方自治体や民間団体等との連携も強化しながら外来種対策を進めていきたいと考えている。