| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-036 (Poster presentation)
日本国内に分布しているDaphnia pulex (ミジンコ) は遺伝的に大きく異なる4つの系統 (以下遺伝系統 JPN1~4) から構成されている。いずれも、北米に産する個体と同様に絶対単為生殖型であり、遺伝的多様性が極端に低いことから比較的近年に日本列島へ侵入したと考えられている。遺伝系統のうちJPN1とJPN2はそれぞれ本州全域及び東日本全域に広く分布し、系統内部でミトコンドリア12SrRNA、CO1、ND5及びControl領域のDNA塩基配列に若干の変異が認められている。本種では長期継代飼育実験によりミトコンドリアDNAの1塩基・世代あたり変異率が実測されている。その変異率にもとづくと、D.pulex JPN1やJPN2の日本への侵入年代は数百~数千年程前と推定される。しかし、その推定値は千数百bp程度の塩基配列から算出したものであり、必ずしも正確とは言えない。
そこで、D.pulexの日本への侵入時期をより正確に求めるため、私達はJPN1系統7クローン、JPN2系統5クローン、JPN3、JPN4各1クローンを含む19クローン (遺伝子型) についてミトコンドリア全ゲノム配列の解読を進めている。本報告ではその経過報告を行うとともに、調べたD.pulexクローンのミトコンドリア遺伝子領域毎の変異数を報告する。