| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-155  (Poster presentation)

都市開発による孤立林サイズの違いがアカネズミの遺伝的多様性に及ぼす影響

*小海佑樹(龍谷大・院・理工), 横田岳人(龍谷大・理工)

 遺伝的多様性の消失は、近親交配と繁殖適応度の低下をともなう。個体群が大きい場合には遺伝的多様性は維持できるが、孤立した小さな個体群では局所的絶滅を招くとされている。
 アカネズミ(Apodemus speciosus)は、年に1、2回の繁殖と寿命が約1年であるため世代交代が早く、遺伝的劣化の影響を受けやすい。また、大型、飛翔性哺乳類と比較して分散能力が低く、一度孤立すると他の個体群との交流が再度行われることは困難である。アカネズミ個体群の遺伝的多様性を評価したこれまでの研究から、高速道路、市街地、大学施設などの人為的建造物が遺伝的影響を与えることを示唆されている。
 都市開発による人為的建造物が遺伝的多様性にどの程度影響を与えるのか明らかにすることは、例えば、どの程度孤立林サイズを維持すれば、小型哺乳類の遺伝的多様性を保全できるのか検討する上で、重要だと考えられる。そこで、孤立林サイズの異なる個体群における、アカネズミの遺伝的多様性を評価することを目的とした。
 調査は、滋賀県の瀬田丘陵における約256ha、約34ha、約3.4haの3つのサイズが異なる孤立林で行った。2015年5月から2017年12月にかけて、捕獲罠でアカネズミを捕獲し、背中の体毛を採取し毛根から、ミトコンドリアDNAのD-loop領域を増幅させ、アガロースゲル電気泳動によって、目的領域が増幅できているかを確認し、塩基配列の解析を行った。
 本発表では、孤立林サイズの違いが、アカネズミの遺伝的多様性に及ぼす影響について検討する。


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