| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-214 (Poster presentation)
長期的な生物相のモニタリングは保全計画を立てるにあたり必要不可欠だが、正確なデータを得るには熟練された技術者の労力が必要となり、将来的には予算や人手不足などが懸念される。そこで近年、ドローン(UAV)による飛行撮影と自動画像処理を組み合わせたモニタリング労力の軽減を図る試みが注目され始めている (Anderson & Gaston 2013, Chabot & Bird 2015, Goebel et al. 2015, Jones et al. 2006)。画像処理による個体数カウントを目的とした撮影は、対象と背景が区別できる鮮明な画質が求められる(Gonzalez & Woods, 2002, Pennekamp & Schtickzelle 2013)。しかし実際のドローン撮影では、生物に影響の無い高度とタイミングを見計らい、尚且つ短時間で全体像を飛行撮影する必要があるため(Fleming & Tracey 2008, McEvoy et al. 2016)、画質に影響を与える制限は多い。例えば季節的に群れる動物のモニタリングを試みる場合、休憩場所で密集している様子を短時間で撮影することが求められるが、これらがねぐらなどの場合は対象動物の検知が難しい薄明薄暮の条件で行わらざるを得ない。
北海道宮島沼(面積0.5km x 0.5km)に秋の渡りで飛来するマガン(Anser albifrons)を対象に、早朝や夕方の薄暗い日光条件でドローンによる飛行撮影を行った。照度が10lux以下のマガンのねぐら入り直後、もしくはねぐら立ち直前を狙い、高度100-150m から1/30秒以下のカメラ露出時間(F値、ISO感度は1600-12800の間を自動調節)で撮影した。結果、露出時間を長めに取り、照度に準じてISOを上げることで、ノイズを最小限に抑えられた。また、フリーソフトFiji・Image Jの教師付き検知プログラムTrainable Weka Segmentationを利用しカウントを行い、対象と背景の区別がつきにくい限界検知照度とカメラ設定を探索した。