| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-220  (Poster presentation)

農業用水路におけるイシガイ類の成長

*野村賢吾(龍谷大学・院・理工), 鶴谷峻之(龍谷大学・院・理工), 野村将一郎(龍谷大学・理工), 太田真人(龍谷大学里山学研究C), 遊磨正秀(龍谷大学・理工, 龍谷大学里山学研究C)

 日本には18種のイシガイ類が生息し、現在、その約7割の種が絶滅危惧種に指定されている。イシガイ類の好適な生息環境や繫殖様式についての基礎的な知見は報告されているが、イシガイ類の成長と野外での餌資源との関係についての情報は少ない。本研究では、農業用水路において、イシガイ類の成長と水路内環境との関係について検討した。
 野外飼育実験を2018年4~9月の間、滋賀県の近江八幡、東近江、田上の農業用水路において行った。2018年2月に実験準備として、近江八幡において採取したイシガイ類3種(マツカサガイ、イシガイ、カタハガイ)をマーキングし、各種ランダムに15個体ずつプラスチック製飼育ケージ(38.5×29.0×13.0cm高)に入れ、各調査地の環境に1ヵ月間慣らした。実験期間中、週1回の頻度で環境要因及び植物プランクトン量の測定を行った。また、月1回の頻度でイシガイ類の殻長を測定し、成長率を算出した。その後、イシガイ類の成長率に関わる環境要因及び植物プランクトンを抽出した。
 本研究で用いた3種のイシガイ類においては、珪藻のAsterionella、Diatoma、Gyrosigma、Nitzschiaの存在がその成長を促す一方、高い濁度や高密度の緑藻(Scenedesmas等)が成長を阻害することが示唆された。今後、これらの植物プランクトンについて、イシガイ類が実際に消化し同化しているか検証していく必要があるだろう。


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