| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-237  (Poster presentation)

モンゴル国・ホステイ国立公園におけるアカシカ(Cervus elaphus)の生息地の環境利用

*臼井森羅(酪農学園大学)

モンゴル国・ホステイ国立公園は野生絶滅したモウコノウマ(Equus ferus przewalskii)の再導入地として1992年に選定され、翌年の1993年にモンゴル政府から特別保護地区に指定された。特別保護地区に指定され、モウコノウマを含む公園内に生息する野生動植物の捕獲採取が禁止となり、動植物たちは保護された。この結果、モウコノウマだけでなく2006年にモンゴル国内のレッドリストに制定されたアカシカ(Cervus elaphus L.)やハイイロオオカミ(Canis lups)などの貴重な動物も増加している。
アカシカが増加すると食害により公園内の森林減少や植生の変化が起こり種内、種間での資源競争が生じる可能性がある。本研究では現地調査とリモートセンシング技術を活用しアカシカの生息環境要因の解析を行なった。
アカシカの生息環境を明らかにするために高い推定精度を有する解析手法であるMAXENT(Maximum Entropy Model)を用いて生息適性地モデルを作成した。モデルを作成することで、生息適性地に対する各環境要因の重要度や応答の関係を把握することが出来る。
 本研究ではホステイ国立公園におけるアカシカの分布パターンを明らかにした。その結果、アカシカの生息地条件で重要な要素は「標高、森林の有無、河川からの距離」であることが明らかとなった。それらの環境要因が重要である理由として外敵である人間・オオカミからの影響から逃れられるためだと考えられる。


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