| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-258 (Poster presentation)
近年地球温暖化防止のため、再生可能エネルギーを用いた発電方法が世界的に導入されてきている。風力発電もその一つであり、それが抱える問題の一つとして鳥が風車に衝突するバードストライクがある。日本ではこれにより、オジロワシなどの希少な猛禽類が死んでいる。これらの猛禽類は渡りを行うことで知られており、渡りの経路の途中に風車があるとバードストライクが生じやすくなると考えられる。
本研究では渡り鳥にとって危険な場所を調べるために、渡りの経路を推定し風車の影響の指標化を行った。まず日本各地にあるサシバ_Butastur indicus_の飛来記録を収集した。サシバは秋に本州から東南アジアにかけて渡りを行うことが知られている。そうであるならば、サシバの飛来数の挙動がある程度形を保ちながら北から南にかけて移動すると考え、飛来数の挙動の類似度をDynamic Time Warpingを用いて調べ移動経路を推定した。さらに、推定した移動経路に風車の影響を重みづけし、危険な箇所を推定した。
推定の結果、佐賀県から長崎県にかけての経路で風車の影響が大きいことがわかった。長崎県では鳥類の衝突事故死の発見事例が日本の中で多いため、今回の方法で渡り鳥にとって危険な場所の推定は可能と考える。