| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-271 (Poster presentation)
多細胞生物は集団や個体群を形成し細胞同士で情報をやり取りするが、単細胞生物である納豆菌や枯草菌といったバクテリアはコロニー(集落)を形成する。これらのバクテリアは栄養を含んだ寒天培地に接種すると培地の表面で二次元的に成長、分裂を繰り返して膨大な数の密集した細胞の集まりであるコロニーを形成し、分布を拡大することがわかっている。また、この分布拡大の様子は培地の寒天濃度や栄養濃度によって変化する。
バクテリアコロニーの分布拡大の研究については枯草菌が多く用いられてきた。寒天倍地上の実験において、寒天培地に含まれる栄養濃度が高いほど菌の増殖が促進され、寒天濃度が低いほど能動的に動き回り、バクテリアコロニーの増殖は促進される。しかし、枯草菌の近縁種とされる納豆菌では一般にコロニーの拡大が促進される条件においてコロニーの拡大が抑制されていることがこれまでの研究で分かっている。
弊研究室の過去の納豆菌コロニーの研究においては、培地の寒天濃度や栄養濃度だけでなく、培地の容量(深さ)の変化によっても増殖拡大の様子が変化することが発見されており、納豆菌コロニーは培地表面だけでなく三次元的な増殖をすると考えられている。
本研究では納豆菌、枯草菌の2種のバクテリアを用い、栄養濃度・寒天濃度・寒天培地の深さを変化させた培地で培養実験を行い、増殖拡大の様子を明らかにしていくことを目的としている。