| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-008  (Poster presentation)

北海道中央部千歳市の森林植生-既存植生資料との比較-

*田村萌, 並川寛司(北教大・札幌・生物)

 北海道中の中南部に位置する千歳市は,東西約57 km,南北約30 kmと東西に長く,西側には1949年に国立公園に指定された支笏湖を含む.同市とその周辺の森林を対象に行われた植生調査として,支笏湖周辺の国立公園を対象とした舘脇(1961),支笏湖周辺に加え市街地周辺も対象とした千歳市(1995)が挙げられる.本研究は,これらの既存の植生調査の記載(森林断面図,優占種,地形など)を参照し,可能な限り同じ位置で植生調査を行い,種組成の変化を明らかにすることを目的とした。その最初の取り組みとして,2017年,支笏湖周辺で12ヶ所,市街地周辺で8ヶ所,合計20ヶ所で植生資料を得た.
 既存の調査から得られた植生資料(支笏湖周辺83地点,市街地周辺25地点)と2017年に得た現在の植生資料(20 地点)に対し,TWINSPANによる植生区分を行った.全128 地点は,支笏湖周辺の資料のみを含むA群(22 地点),支笏湖周辺と市街地周辺の両方の資料を含むB群(54 地点,支笏湖周辺の資料を多く含む)およびC群(31 地点,市街地周辺の資料を多く含む),支笏湖1 地点と市街地20 地点の資料を含むD群(21 地点)に分けられた.
 過去の植生資料と今回の植生資料を比較するために,同じ位置から2017年に得た植生資料(合計40地点)に対してDCAを行った.既存の資料についてみると,市街地周辺の植生資料は1軸のスコアが小さく,支笏湖周辺の植生資料は大きなスコアを示した.同じ場所で得た2017年の植生資料の配置をみると,市街地周辺の植生資料の1軸スコアはより大きく,支笏湖側の植生資料の1軸スコアはより小さくなる傾向がみられ,種組成の収斂が見られた.


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