| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-051  (Poster presentation)

京都市街地のミカヅキゼニゴケの分布

*杉村大輔(龍谷大・院・理工), 鈴木雅(龍谷大・院・理工), 横田岳人(龍谷大・理工)

ミカヅキゼニゴケ(Lunularia cruciata)は、日本における唯一の外来種の苔類であり、日本各地で分布が報告されている。ミカヅキゼニゴケは市街地に生育しており、日本国内では無性芽のみで繁殖していると考えられてきた。国内のミカヅキゼニゴケは胞子体の形成は確認されているが、胞子の散布は確認されていない。市街地に生育するミカヅキゼニゴケは、無性芽が人によって付着散布され、分布を拡大していると考えた。
2017年4月から11月に京都市市街地の社寺や緑地112地点で、ミカヅキゼニゴケの分布調査を行った。2015年に行われたミカヅキゼニゴケの分布調査と比較し、2年間での分布変化を確認した。社寺112ヶ所のうちミカヅキゼニゴケが分布していたのは38地点だった。調査地の全体の33.9%で分布していた。分布比較の結果新たに分布が確認されたのは2地点で全体の1.7%、分布がなくなったのは3地点で全体の2.6%だった。
平成27年度全国道路・街路交通情勢調査の結果から、分布を調査した社寺の出入り口が面した道路の交通量を求めた。分布を調査した社寺のうち、交通量調査が行われた道路に面していたのは19地点だった。交通量は、無性芽の付着の可能性があると考えられる歩行者と自転車の交通量を合計したものを用いた。調査社寺ごとの分布の有無と交通量をU検定で解析を行った。分布の有無と交通量のU検定の結果、ミカヅキゼニゴケの分布で歩行者交通量に統計的に有意な差があり(P値=0.0356)、ミカヅキゼニゴケの分布している地点は分布していない地点より交通量が多かった。ミカヅキゼニゴケが分布していた地点では人との接触の機会が多いと考えられる。


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