| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-138 (Poster presentation)
現在、宅地開発などにより都市域では鳥類の生息場所が減少している。その中でも河川は、鳥類の貴重な生息場所として残っている。しかし、都市域の河川は水害対策のためコンクリートの護岸化や河道の直線化などが行われてきたことにより、河川においても鳥類の生息に影響を及ぼされてきた。今まで都市域の樹林地や公園緑地などにおいて鳥類群集に焦点を当てた研究は行われてきたが、河川に着目した研究は少ない。特に、都市中小河川での研究は皆無に等しい。そこで、本研究では、都内を流れる中小河川において、生息場所として河川に依存している水鳥を指標とし、水鳥の個体数や多様度と河川横断構造の定量的なデータとの関連性を明らかにし、都内の中小河川における鳥類群集の保全に配慮した河川整備のあり方について考察することを目的とした。
調査地は多摩川水系の野川と仙川、荒川水系の善福寺川、神田川の4河川とした。鳥類調査は、繁殖期と越冬期の晴れた日にラインセンサス法を用いて行った。
水鳥の個体数と河川横断構造の解析の結果、カルガモは、繁殖期は川幅が狭く水域率が高い場所を利用し、越冬期は開放的な空間を利用する傾向があった。サギ科は、閉鎖的な空間を利用する傾向があった。セキレイ科は、狭い空間を利用する傾向があり、繁殖期は陸域の存在も重要であることが示唆された。越冬期のカモ科は全体的に、水域と陸域の存在が重要であり、解析をしたオナガガモ、コガモ、マガモの3種は水域の広い場所を利用する傾向があった。コガモとマガモは陸域の存在も重要であり、さらに、オナガガモとマガモは開放的な空間を利用し、コガモは閉鎖的な空間を利用する傾向があった。多様度指数と河川横断構造の解析の結果、季節性があるものの、川幅、水路幅、陸域幅、水面から天端までの高さが正に影響していた。
発表では、上記の結果をもとに考察する予定である。