| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-024  (Poster presentation)

マレーシアとケニヤにおける森林組成について

*目黒伸一(国際生態学センター)

世界の植物相はTakhtajan(1986)による6つの植物界に分類されるが知られている。その中において東南アジア、南アジア、アフリカ大陸の大部分は旧熱帯区に属する。
マレーシアとケニヤは、同じ旧熱帯植物界に位置しているが、その植生学的比較および検討についての報告は多くない。この植物界における赤道直下の山地林は東アフリカと東南アジアに限られるため、両地域における山地林の組成比較によってその共通性と相違を明らかにすることを目的とする。
東南アジアの垂直分布は低地のフタバガキ科樹種を主体とする熱帯雨林から標高が上がるにつれてブナ科やクスノキ科など北半球暖温帯林構成種群と共通性および、水平分布の相同性をOhsawa(1990)は指摘している。
本研究では東アフリカ山地林の中心地の一つであるケニヤおよび東南アジア熱帯雨林の中心地のひとつであるボルネオ島におけるこれまで発表者が収集してきた植生データに加えて、新たに得られた調査資料を追加し、植生群落タイプの分類の特徴と注目すべき種群の出現挙動についての検討を図った。
植生調査は、ブラウン-ブランケ(1964)の植物社会学的方法にしたがい、ケニヤおよびマレーシア・ボルネオでおこなった。解析の結果、分類は標高に沿って区分された。群落区分種は立地や環境を示す指標と考えられ、区分種の科ごとの出現割合を計算し、群落の高度に沿って出現特性を調べた。その結果、Gondwanan種の特徴がマレーシアとケニヤで出現挙動に共通性がみられ、一方旧熱帯区山地林における区分種が全北区との相同性が認められた。


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