| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-078  (Poster presentation)

ハクサンハタザオの同一集団における気孔密度の時空間変動

*三宅(村山)恵子(名大・理学研究科), 杉阪次郎(京大・生態研), 工藤洋(京大・生態研), 金岡雅浩(名大・理学研究科)

 植物の気孔は、一対の孔辺細胞とその周辺の細胞からなり、葉からのガス交換や蒸散を担う重要な器官である。青木ら(未発表)は、アブラナ科タネツケバナ属Cardamine flexuosaにおいて、野生個体では水環境に沿って葉の気孔密度が異なること、また、室内実験下で水分条件を変えて生育した場合に気孔密度や気孔開度が変わることを明らかにした。このように気孔は環境に応じて密度や開度を変えるといった可塑性があり、環境への応答に重要な役割を果たすと考えられる。
 しかしながら、野生集団では、水環境のみならず、光環境、温度環境といった複数の環境要因が場所や季節によって大きく変動しており、これらの要因について気孔の数や密度がどのように変化するのかを同一個体を追跡して調べた例はこれまでない。
 そこで、本研究では、アブラナ科ハクサンハタザオ (Arabidopsis halleri) の野生集団を用いて、気孔発生に環境変動がどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的として調査を行った。調査地は、兵庫県にあるハクサンハタザオの長期野外調査サイトで、調査地に環境の異なる3つの区画を設け、計9個体の葉の気孔密度を1年間に渡り追跡して調べた。
 本発表では、気孔密度の空間的な違い(調査区画による違い)および時間的な変動を、環境データと比較しながら報告する。


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