| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-081 (Poster presentation)
フタバガキ科植物が優占する東南アジアの非季節性熱帯雨林では、1年周期での明瞭な気温や降水量の変化が見られないことが知られている。このような非季節性熱帯において、フタバガキ科植物の成長がどのような要因により制御されているのかということについては、不明な点が多い。この原因の一つに、フタバガキ科植物の成木が、50メートルを超える高木へと成長するために、観察や実験が難しいことが挙げられる。そこで、フタバガキ科の1種であるShorea leprosulaの稚樹の伸長成長に研究対象を絞ることにより、その伸長成長がどのように制御されているのかを、観察と実験を通して明らかにすることを目指した。近年の様々な植物を用いた研究では、野外における遺伝子発現解析が、植物の成長制御を理解する上で有効な実験手段となることが示されている。そのことから、野外での伸長成長の詳細な観察に加え、伸長成長を示す枝と成長が止まっている枝に対して、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、両者の違いを調べた。本発表では、遺伝子発現解析の結果から示唆される成長制御要因の候補や、他の植物における成長制御機構との比較について議論したい。