| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-095  (Poster presentation)

窓を持つ多肉植物の光コントロール戦略

*植田忠伸, 田中秀典, 細川洋一((株)豊田中央研究所)

 窓を持つ多肉植物は,頭頂部の透明な窓から太陽光を内部に取り込み,レンズ効果で集光して地中埋没部表皮付近の葉緑体に導光し,光合成を行っているとされている.窓を持つ多肉植物の光制御手法を解明するために,窓を持つ多肉植物3種類,フェネストラリア(Fenestraria rhopalophylla ssp.aurantiaca),ハオルチア(Haworthia correcta),リトープス(Lithops aucampiae)と比較対象のアロエ(Aloe vera)について,内部組織の観察,光透過性と光散乱性の定量評価を行った.アロエと比較して,窓を持つ多肉植物の光透過性は約1/3と小さく,光散乱性は1.4~1.8倍と大きいことが分かった.内部組織の平均細胞直径を調査したところ,窓を持つ多肉植物とアロエでそれぞれ異なり,アロエ>ハオルチア≒フェネストラリア>リトープスの順であった.透過光強度と散乱光強度を平均細胞直径と比較した結果,透過光強度は平均細胞直径が大きい方が大きく,散乱光強度は平均細胞直径が小さい方が小さくなり,平均細胞直径に依存することが分かった.光透過性と光散乱性は多面体構造の密度に依存していると推察される.


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