| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-217  (Poster presentation)

シミュレーションによる納豆菌(basilus var. sabtilus natto.)コロニーのパターン形成の格子確率モデルによる解析

伊藤翔太(兵庫県立大学), 向坂幸雄(中村学園大学), *中桐斉之(兵庫県立大学)

生物は環境条件の変化によって集団の空間における分布が変化する。枯草菌や納豆菌などのバクテリアを栄養を含んだ寒天培地に接種すると成長、分裂を繰り返してコロニーを形成して分布を拡大させるが、このコロニーのサイズや空間パターンは、培地の環境条件に依存し、培地の温度や寒天濃度、栄養濃度によって様々なパターンを形成することが分かっている。
一般にバクテリアは寒天培地に含まれる栄養濃度が高いほど分裂、増殖が促進され、寒天濃度が低いほど栄養の拡散が起こりやすく、バクテリアが運動しやすくなり、コロニーは平面的に成長、拡大する。枯草菌の一種である納豆菌も培地の栄養濃度の増加と寒天濃度の減少に伴ってコロニーが拡大するが、寒天濃度が低く、栄養濃度が高い環境条件でコロニーの拡大が抑制されるということがわかっている。また、遠藤(2016)はその際納豆菌は培地内部へ3次元的に重なりながら増殖拡大していると述べている。
本研究では、納豆菌(Bacillus subtilis (natto))を対象として、納豆菌のコロニー拡大が抑制される要因とその時の成長の機構を明らかにすることを目的とし、納豆菌コロニーのパターン形成について水平方向だけでなく鉛直方向にも増殖可能とする3次元的なモデルを構築し、モデルとシミュレーションにより解析を行った。その結果、栄養濃度が高く、寒天濃度の低い環境条件では、納豆菌は運動がしやすく、栄養を効率よく吸収できることでさらに栄養を取りに行くためにコロニーを拡大させる必要がなくなり、納豆菌密度の高い培地の中心付近で培地内部へ3次元的に増殖することが分かった。


日本生態学会