| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-258  (Poster presentation)

常呂川水系仁頃川におけるウチダザリガニ防除方法の検討

酒井勇輔, 田村漱祐, 平野由佳, *村林宏(日赤北海道看護大学)

 特定外来生物のウチダザリガニ(Pacifastacus leniusculus,以下、ウチダ)は、北海道北見市内では富里湖において生息報告があったが、発表者が2014年に仁頃川上流においてウチダの生息を確認した。本研究では、ウチダの捕獲方法に関し、3種の罠と3種の餌を用いて捕獲効率の差異を検討した。
 調査地は、北海道北見市仁頃川上流域とした。期間は、2017年9月26日より5日間実施した。罠はカニカゴ、スプリングモンドリ(以下、モンドリとする)、ウナギ胴を用いて、5か所の淵に設置した。餌は、イカ10gで統一した。餌による捕獲効率の差異の検討について、罠はモンドリで統一し、5か所の淵に設置した。期間は同年10月3日より5日間実施した。餌はイカ、ドッグフード、補殺したウチダを刻んだもの(以下、ウチダミンチとする)を10gずつ用いた。1回あたりの餌コストは、イカ8円、ドッグフード2.4円、ウチダミンチ0円であった。罠間での捕獲数の差および混獲数の差、餌間での捕獲数および混獲数の差を、各種検定を用い比較した。
 罠ごとのウチダの捕獲数は、モンドリ255個体、カニカゴ69個体、ウナギ胴0個体で、モンドリが有意に多くウチダを捕獲できた(p<0.01)。しかし、混獲数もモンドリが最も多かった。餌ごとのウチダの捕獲数は、イカ103個体、ドッグフード80個体、ウチダミンチ80個体であり、3種の餌によるウチダ捕獲数に明らかな差は認められなかった。混獲数は、ウチダミンチが、有意に混獲が多かった(p<0.05)。
 これらの結果から、最も捕獲効率の良い罠はモンドリであった。餌での有意差は検出できなかったが、混獲数、コスト、手間を考慮するとドッグフードが最も適していると言える。今後は動物性と植物性の餌とを用いた比較や罠の設置方法の比較により、ウチダ捕獲の効率性向上と、混獲減少を考慮すべきと考える。


日本生態学会