| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-268 (Poster presentation)
茨城県の霞ヶ浦周辺では特定外来生物カワヒバリガイの分布拡大と密度増加が報告されている。近年では霞ヶ浦からの導水施設においてカワヒバリガイの新たな侵入も報告され、一部の地域では重篤な通水障害が発生している。これらの施設における被害対策を考えるためには、霞ヶ浦でのカワヒバリガイの密度変動を評価・予測することが重要となる。本種の加入密度は浮遊幼生密度の変動と高い相関を持っている。そこで、霞ヶ浦湖岸の導水施設における本種の幼生密度の2009年から2017年までの経年変動を明らかにすると共に、その変動の要因と考えられる環境要因(水温、ph, DO, クロロフィルa量)との関係を調べた。
調査の結果、カワヒバリガイ幼生は5月から11月までの期間、水温が18.3度を超えた時にのみ採集され、幼生密度の経年変動(7月から10月までの幼生密度の総和)は主に18度以上の積算温度と相関を持つことが示された。解析に用いた積算温度はアメダスから取得した日平均気温からの推定値を用いており、これらのデータを用いたカワヒバリガイの発生予測が可能かもしれない。