| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-05 (Poster presentation)
平成26年4月埼玉県を中心に高校生が外来生物問題を考えることを目的に集まり、複数の学校が協力して、埼玉県全域のアライグマ生息調査を爪痕調査によってあきらかにしようと「チームアライグマ」を結成した。1年間で400を超える爪痕のデータをまとめ、日本生態学会鹿児島大会での高校生ポスター発表で活動1年目を終了した。寺社の爪痕調査によって、アライグマの広がりを実感でき、市町村における捕獲データと比較することで、アライグマの生息状況を知る上で爪痕調査はある程度有効であることがわかった。ただし、ハクビシンとの区別がつきにくいこと、足跡や映像としての証拠も必要であること、調査地点数が課題としてあげられた。
2年目(平成27年4月)以降現在4年目(平成30年3月)にいたるまでは、高校生が外来生物問題を自分たちの目線と立場で自主的に考えることに加え、チームでの学びから社会に様々な発信をすることで、科学的思考力・判断力・表現力に加え、実社会との関わりの中で答えのない問題を協働して解決する力を育成することを目的として活動している。チーム結成2年目より中谷財団の助成を得ることができ、自分たちの活動を外部に発表し、チームとして外来生物問題を広く一般の人々に啓蒙する活動がより活性化した。アライグマをはじめとする様々な外来生物(セアカゴケグモ・トガリアメンボ、アカミミガメ、ブルーギル、アレチウリ)の知識に加え、生態系における外来生物の脅威や島嶼生態系の外来生物の完全防除と保全の知識を研修会で吸収した。さらに、高校生によるシンポジウム(早稲田大学所沢キャンパス会場)、討論会(日本獣医生命科学大学会場)なども高校生主体で企画運営し、各校が外来生物をテーマに実際に研究を行いその研究成果を発表している。