| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-06  (Poster presentation)

国内外来種トノサマガエルが北海道の在来種アマガエルに与える脅威 ~アマガエルを救うために~

*佐藤元拓, 吉田野乃, 齊藤駿太, 細川俊哉(北海道北広島高等学校)

 北海道北広島市周辺において、国内外来種トノサマガエル(以下トノ)の侵入が在来種アマガエル(以下アマ)に与える悪影響を、2012年から調査してきた。2013年からはトノとアマの幼生段階での個体数や分布状況に着目し調査を行った。また、トノを駆除する方法についても研究してきた。
Ⅰ.「定点調査」:トノが多い地域の2地点(北広島市共栄、恵庭市北島)と、トノが少ない地域の2地点(長沼町舞鶴、恵庭市春日)の水田各1ヵ所で、トノとアマの個体数を比較した。結果として、この数年で北広島市共栄以外の3地点ではトノが増加、アマが減少していることがわかった。
Ⅱ.「広域分布調査」:北広島市周辺(東西12㎞×南北20㎞)を2㎞×2㎞の方形に区切り、各方形区内の水田1ヵ所でトノとアマの存在比を調査した。その結果、トノの分布が北広島市を中心に東に拡大していることがわかった。
以上2つの調査からトノの個体数の増加、分布の拡大とともにアマの減少が急速に進行していることがわかった。
Ⅲ.トノの駆除法については2015年までは「中干し」を活用する方法を研究してきた。「中干し」とは水田の水を一時的に抜く作業である。トノがアマよりも成体になる時期が約2週間遅いため、この間に「中干し」をするとトノだけを駆除できる。そのため駆除法としては非常に効果的であるが、駆除を優先して「中干し」を行うことは難しい。そこで、より手軽な駆除法として卵塊駆除を研究した。駆除効率の検証のため、トノが多い定点調査地点2地点の水田(対照区)と隣接した水田を駆除区として比較を行ったが、結果として対照の条件を満たしていないことが判明し、失敗した。しかし、卵塊が岸沿いに集中すること、産卵の時期が集中していることなどの有益なデータを得ることができた。


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