| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-29 (Poster presentation)
アフリカツメガエルは実験動物として古くから利用され、飼育方法も確立されつつある。食性に関して、幼生の時期は植物プランクトンをろ過して食べる草食であるが、変態すると肉食へ変化することが知られている。
本校生物部でアフリカツメガエルの幼生を飼育していたところ、他個体から食べられたような死骸が確認された。このことから、植物性の餌を食べる一方で動物性の餌も必要とし、その影響により幼生同士でカニバリズムが起きたのではないかと考え、幼生の食性やカニバリズムについて研究を行った。
予備実験として植物性の餌だけを幼生に与えて飼育してみたところ、初期に個体数が大きく減少した。そのため、動物性の餌の割合を変え、雑食(A群)と肉食(B群)の2つに分けて飼育を行った。A群も初期に個体数が大きく減少したものの、それ以降は緩やかに推移し、カニバリズムは初期に起こっていた。B群の個体数は全体的に緩やかに推移し、中期~後期にカニバリズムが起こっていた。亜成体まで発生が進んだ個体の割合は、A群で19%、B群で44%となり、発育が良いのはB群であった。体長や腸の長さを測定すると、両群とも亜成体の時期まで伸長し続け、変態終盤のごく短期間に体長や腸の急激な短縮が起こっていた。腸内壁の構造は、幼生から亜成体では両群ともに比較的平坦な構造をしており、成体にのみひだ構造がみられた。
以上のことより、アフリカツメガエルの幼生時期は雑食であり、動物性の餌を多く摂る事が成長や変態を促進していると考えられる。