| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-36 (Poster presentation)
外来植物であるナヨクサフジ(Vicia dasycarpa)の分布が日本の多くの地域で広がっている。奈良市の西部と矢田丘陵公園で確認されている(横井他2008)が、分布が拡大する要因やその影響は研究されていない。本研究では、奈良県で見られるナヨクサフジの現在の分布域を調査し、分布が広がる主原因である昆虫を特定することを目的とした。また、特定された昆虫がナヨクサフジを利用する理由について口吻と花筒長から考え、ナヨクサフジの分布が植生に与える影響を明らかにすることを目的とした。奈良県のほとんどの河川で分布が確認され、2016~17年にかけて一部の地域で分布が拡大した。訪花昆虫は、主に3種確認され、シロスジヒゲナガハナバチ、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチであり、調査地によって訪花昆虫が異なっていた。ナヨクサフジは袋がけ実験から、自家受粉しないことが分かり、訪花昆虫が存在することが必須であることが分かった。植生調査では、ナヨクサフジの被度や群度が大きいコドラートでは草本植物の種数が減少する傾向が見られた。