| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-37  (Poster presentation)

半寄生植物ヤドリギの研究

*野呂太一, 上手幸大, 三田村英(北海道北広島高等学校)

 私たち北海道北広島高校生物部は、校地内でナナカマドに寄生しているヤドリギを発見したことをきっかけに、ヤドリギの生態に興味を持ち研究をはじめた。研究内容は、屋外の樹木への「種子接種実験」(果肉の粘性を利用し種子を貼り付ける実験)に加え、ヤドリギの初期成長過程を調べるために屋内の挿し木への接種実験(「ドロノキ水耕栽培接種実験」)、宿主内部でのヤドリギの寄生機構を知るための「内部構造調査」を行った。
Ⅰ.「種子接種実験」  ナナカマドの幹と若枝、サクラの若枝にそれぞれ果皮をむいたヤドリギ種子を果肉ごと貼り付け、定着状況と成長過程を見た。結果として、発芽率は幹60%、若枝100%であったが、その後、幹での脱落により幹7%、若枝70%となった。この原因は幹に比べて若枝は樹皮がうすく、木質も柔らかかったためと考えられる。
Ⅱ.「ドロノキ水耕栽培接種実験」  室内に設置した水槽に、木質が軽軟で発根しやすい性質を持つドロノキを挿し木したのち、冬季に採取し冷蔵庫で保管していた種子を5月に接種し成長過程をみた。結果として1個体のみが発芽した。失敗の原因は、種子の冷蔵庫保管(5ヶ月)、もしくは本来と異なる季節の接種によることが考えられる。
Ⅲ.「内部構造調査」  寄生したヤドリギとともに宿主木(ハンノキ)を採取し、寄生され肥大化した宿主木の内部構造を明らかにするため、肥大化部分の断面を観察した。結果として、宿主木に侵入したヤドリギの根は宿主木の中心へと伸びていた。宿主木の肥大化はこの侵入に対する反応によるもので、ヤドリギが侵入した地点で宿主木の形成層活動が活発になり、樹皮が厚くなっていたと考えられる。また、侵入した根が樹皮下で分岐し、他のヤドリギと繋がっている個体があった。これは、ヤドリギの成長に伴い、樹皮下で根を伸ばし、繁殖活動をしていることを示唆している。


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