| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-40 (Poster presentation)
外来種問題は日本国内のみならず世界でも既存の生態系を脅かすとして問題視されている。外来種駆除には様々なアプローチが考えられるが、コストや手間がかかるうえ実質的・直接的な利益を得ることができないために駆除活動は活発には行われていない。外来種の駆除活動を活発化させるためには、外来種駆除を行うことに何らかのメリットを持たせる必要がある。本校の先輩方が行っていたキノコ栽培についての研究方法を用いて、キノコ栽培における外来種の有用性を調査し、外来種の駆除のメリットを持たせ、外来種駆除活動の活発化に貢献する方法はないかと考え本研究を始めた。
熱帯アメリカ原産の外来種であり、ヒラタケ菌糸が好むリグニンやセルロースを多く含むことが知られているオオサンショウモに注目して研究を行った。PDA寒天培地を用いてヒラタケ菌糸の成長速度を観る実験と、広葉樹のオガクズと米ぬかを混ぜ合わせた培地を用いた菌床栽培においての菌糸の成長速度および子実体の収穫量についての実験の2種類を行い、それぞれにおいて、粉末にしたオオサンショウモを配合したものとしていないもので比較を行った。
実験の結果、PDA寒天培地にオオサンショウモの粉末を配合したものの方が配合していないものより菌糸の成長が早かった。このことから、オオサンショウモ粉末にはヒラタケ菌糸の成長を促す効果があるのではないかと考えた。しかし、菌床栽培においては、オオサンショウモを配合したものとしていないものを比較すると、菌糸の成長速度および子実体収穫量において大きな差は見られなかった。これらの結果を踏まえ、現在はこれらの結果に差が生まれた原因と、実験を効率化させるための寒天培地上での子実体の育成について実験を行っている。