| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-44 (Poster presentation)
現代社会において毎年13億トンの食糧が無駄に捨てられており、国際的な問題となっている。そのことは、国連が掲げているSDGs(=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))の中でも、特に解決しなければならない問題として挙げられている。そこで私たちは、家庭から出た食品廃棄物をきのこ栽培に利用することができれば、ごみの減量につながると考え、食品廃棄物を培地に添加してキノコ栽培を試み、その結果を廃棄物を入れていない状態のものと比較した。廃材がキノコ栽培において有効かどうかを検証するために「菌糸の成長速度」、「収穫量の増加」、「害虫対策」の3点に注目してデータを取得した。
実験の結果、家庭から出る廃材を加えることで、キノコの菌糸の成長速度および収穫量が増加したことが確認された。このことから、キノコ栽培における食品廃棄物の有用性が示唆された。この研究成果を特に、SDGsの中の目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」につなげたいと考えている。
今後の課題として、廃材の集め方について検証したいと考えている。今回の実験ではそれぞれ一種類の廃材をキノコ栽培における培地に添加して有効性を検証したが、実際に家庭から出る廃材は、さまざまな種類のものが混ざっている。つまり、今回の結果を実際に活かすためには、特定の廃材を安定的に確保する方法を確立する必要があると考えている。